弱虫なんかじゃない。ルビィは強い子 ラブライブサンシャイン 2期8話 感想・考察

タイトルの通り、函館にAqoursが行った8話。ラブライブサンシャインで北海道といえばセイントスノー。彼女たちが出てくるのはわかりきったことでしたが、どんな展開になるのかは視聴するまで全く想像がつきませんでした。予告のネタっぷり、7話の話が重かった分楽しい北海道観光か?と思っていましたが・・・

 

全然そんな話ではなかったです。そして今までメインキャラとしての出番が少なかったルビィにようやく出番が・・・!それも単に主役を与えられただけでなく、ルビィの人としてすごく良いところが溢れ出ていて・・・泣きました。僕としてはすごく好きなタイプの話でした。

 

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あらすじ

北海道の地区予選に招待されたAqours。かつて顔を合わせたことのあるライバル、セイントスノーの予選を見るが、パフォーマンスの失敗により敗退してしまう。妹、理亞にとっては姉の聖良と出られる最後の大会・・・。同じ3年生の姉と一緒にスクールアイドルをしている立場であるルビィは理亞の辛さがわかっていて、「失敗を最後にしないように、お姉ちゃんに届ける歌を作ろう」と自ら動き出した。

 

ルビィと姉のダイヤの関係、理亞の気持ちに気付き、行動を起こしたルビィの強さ、今回の主題はこれです。

 

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ルビィにとっての「お姉ちゃん」

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アニメで度々出てくる、黒澤姉妹の仲の良い描写。一番古いシーンはダイヤが高校1年生だった2年前の話です。二人でμ’sの雑誌を見たり、衣装を真似て遊んだり・・・(1期4話)。二人はスクールアイドルが大好きな姉妹です。時間軸的にその前後だと思われますが、その時期に現3年生がスクールアイドルを始めます。言い出したのはダイヤです(1期8話の回想シーン)。乗り気でない鞠莉をノリノリで誘ったあたりから、ダイヤがスクールアイドルが大好きだったことがわかります。

しかし、大会で歌えなかったあの悲劇の日から、一変します。ルビィが読んでるスクールアイドル雑誌をぶっきらぼうに「見たくない」と言い、その状態が2年続きます。当然、ルビィとスクールアイドルの話はしなくなったでしょう。ルビィはどんな気持ちだったんでしょうか。ここで、1期4話で花丸と話していたときのセリフを思い出してみましょう。

 

「本当は、ルビィもスクールアイドルを嫌いにならないといけないの」

「お姉ちゃんが嫌いなものを、好きではいられない」

 

何も知らない人がこのセリフを聞いたら、ダイヤがかなり支配的で、到底仲の良い姉妹には見えないでしょう。4話の時点では明かされていない過去も多く、話の筋道がわからなかったかつての僕はそうでした。しかし、今ならあのセリフの裏にあるルビィの気持ちがわかります。ルビィはダイヤが好きだからあのセリフを言えたのです。スクールアイドルが好きなダイヤのことが大好きで、たった一つの失敗によって全てを変えられてしまったことが辛かったのです。ダイヤがAqoursに加入したとき、「親愛なるお姉ちゃんへ」ととても嬉しそうに言っていますし、3年生がかつて3人でスクールアイドルをやっていたときに衣装を作っていたのはルビィだという説も濃厚です(2期2話の衣装担当に関する話から想像できる)。ルビィにとってダイヤは、一緒に好きなことを楽しめる相手であり、その好きなことを楽しんでる姿が彼女は好きなのです。

 

だから、こう言ったんです。

「あんなにスクールアイドルに憧れていたのに・・・あんなに目指していたのに・・・もう終わっちゃうんだよね・・・」

「でも・・・ルビィはお姉ちゃんともっと歌いたい・・・お姉ちゃんの背中を見て、お姉ちゃんの息を感じて・・・お姉ちゃんと一緒に汗をかいて・・・」

「ルビィを・・・置いて行かないで・・・」

 

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この言葉にはたくさんの意味が込められていると思います。ダイヤと共にスクールアイドルを楽しんだ思い出、大好きなスクールアイドルから離れざるをえないダイヤに対する悲しさ、一緒にできる時間が限られている寂しさ・・・。様々な強い気持ちからこの言葉が出てきたのだと思いますが、僕は何よりも、一緒に大好きなスクールアイドルを楽しみ続けたいという気持ちが一番強かったと思います。それは、上に書いたように、ルビィは大好きなことをしているダイヤの傍にいることが好きだと思うからです。ルビィの言葉から、それがすごく伝わってきました・・・。

 

本当に強い人ってルビィみたいな人

人見知りが激しく、引っ込み思案。臆病で泣き虫。ルビィの特徴なのですが、一般的にこのような人は「弱虫」と言われます。しかし、それって本当なのでしょうか?これは「人前に出て上手く関われない不器用さ」という、一つの側面の印象にしかすぎません。もっと大事なところを見落としてます。そして、それは人として一番大事なところです。

 

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セイントスノーがライブパフォーマンスで失敗したとき、ルビィは一番衝撃を受けた顔をしています。その後、他のメンバーは気持ちを切り替えているものの(もちろんショックは受けている)、ルビィだけはずっと浮かない顔をしています。

 

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そして、偶然入った鹿角姉妹の店の部屋の一室で泣いている理亞に気付きます。理亞はルビィに「さっきのことを話したら、ただじゃおかないから」と言っていますが、おそらく聖良との最後の大会前に喧嘩をし、パフォーマンスも失敗し、取り返しのつかない最後にしてしまったことへの後悔と罪悪感をルビィに吐いたのだと思われます。そこでルビィは「お姉ちゃんと二度とスクールアイドルができない」ことの辛さを強く実感し、黙っていられずに口にしてしまったんだと思います(ここに関してはこれより前に実感していた可能性も考えられます)。

 

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ここから言えることは、ルビィは人の辛い気持ちをわかってあげられる優しさをしっかりと持っているということです。それは同じ「姉と一緒に大好きなスクールアイドルをやっている妹」という立場ゆえのものでもありますが、彼女はただの同情や共感で終わっていません。人一倍敏感に他人のことを感じ取り、それに涙し、行動まで起こすのです。

 

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最後、ルビィはたった一人、誰の力も借りずに理亞を呼び出し、「お姉ちゃんに贈る歌を作ろう」と言います。こんなことができる人が果たして「弱虫」なんでしょうか。むしろ逆だと思います。他人の痛みがわかり、行動までできる優しさ・・・ここまでするにはすごく勇気が必要だと思いますし、これができる人は少数派だと思います。本当に「強い人」ってこういう人なんだと僕は思います。ルビィは決して「弱虫」ではないです。臆病で泣き虫だろうと彼女は人として一番大事なところを持っているのですから。

 

(補足)

1期4話の花丸はルビィのことを「マルと一緒に過ごしてくれたその子はとても優しくて、でもちょっと気にしすぎな子」と言っていました。ここからも彼女が他人の気持ちがわかる優しさの持ち主であることが読めます。ここでの「他人の気持ち」とは辛い過去を持ったダイヤのことにあたりますね。

 

 

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函館での彼女たちの話はここで完結せず、次回にも続くようです。ルビィが言った「お姉ちゃんに贈る歌」がおそらく次の新曲になるでしょう。もしかしてセイントスノーと一緒に歌うコラボ曲!?